木

 

 

 

 

桜の花に思う

 

 

  今年も桜の花の季節がきました。今年は、母が1月3日

に亡くなりました。

 桜の花を見ると、30年前、母と歩いた桜吹雪の道を思い

出します。

 当時、元気だった母の姿が迫ってきます。私は、重度の

脳性麻痺者で、大学受験のため母と降り立った大学近くの

駅前通りを並んで歩きました。母の手は重たい電動かなタ

イプでふさがっていました。私は、両手が悪いためタイプ

で受験するためでした。

 地図によると駅から大学は近いとあったのでタクシーは

止めて美しい桜並木を見ながら行くことにしました。思っ

たよりも遠く母の手は悲鳴をあげていました。私も汗をか

きながら着いて行くのに精一杯でした。

 道々母が話すには、戦時中、弟がここにあった連隊にい

たので亡き祖母や祖父とよく来たんだという話を聞かせく

れた。

 私は無事大学を合格し、卒業しました。

現在私は、脳性麻痺の二次障害で歩く事もタイプを打つこ

とも出来なくなっています。電動車椅子に乗り、足でパソ

コンを操作しています。2年前私は、結婚しました。こん

な現在の私の姿を亡き母は知りません。空の上から優しく

見守ってくれているでしょう。

 今年も桜の季節がやってきています。桜の香り花を思う

と元気だった母と少しは動けた私が懐かしく思い出されま

す。そして、一段と大きく優しくなった幻の母が私に「頑

張れ。」と夢便り花便りに包まれているようです。

 

 

頭に戻る

表紙に戻る